言語聴覚療法

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言語聴覚士

言語聴覚士とは、言葉によるコミュニケーションや聞こえ、飲み込むことが難しくなった方々に対して、必要なリハビリを提供し、よりよい社会生活を送ることができるように支援する専門職です。

言語訓練

脳卒中などで言葉が不自由になり、うまく意思疎通ができない失語症や、記憶障害や注意力低下などがおこる高次脳機能障害、 発話が不明瞭でうまく意思が伝えられない構音障害、また、様々な要因で声が出ない音声障害など、 主にコミュニケーションの問題をもった患者様に対し、検査・評価を実施し、その方にあった訓練を行います。

言葉や発達の遅れのある子どもたち、吃音、人との関わりを上手くとれない自閉症の子どもたちも対象となります。

また、「さ」の音が「ちゃ」なるなどの発達途中の音の誤りを学習する「発音の練習」も行っています。

摂食・嚥下障害

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飲み込みや食べることが困難になった患者様に検査(嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査・・年間 200件程度)を行います。

他にも、舌圧測定器や開口力計などを使用した評価を行い、その患者様にあった食事形態や体位などを決め、食べる訓練(直接訓練)を行います。

また、神経筋電気刺激装置(ポスティム®)や干渉電流型低周波治療器(ジェントルスティム®)などを使用した間接訓練、病棟で看護師と協力し、昼食前に嚥下体操など間接訓練を行っています。

※様々な評価機器・訓練機器を使用し、多面的に摂食嚥下機能を調べ、訓練を実施します。

神経筋電気刺激装置(ポスティム®)
干渉電流型低周波治療器
(ジェントルスティム®)
開口力・トレーナーKT2016
健口くんハンディ
ミニライトピークフローメーター
簡易型呼気圧測定器tasukul
ハンディマッサージャー
吹き戻し

舌を鍛える訓練(舌トレーニング)について

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最大押しつけ力を
「舌圧」として測定します

「舌圧」とは、舌が口蓋を押し付ける力で、舌の筋力を表すものです。

『最大舌圧値が高いほど、食事中にムセることが少ない傾向がある』という報告がなされており、『摂食嚥下機能が良い人ほど最大舌圧値が高い』とも言われています。 私たち因島医師会病院の言語聴覚療法スタッフの研究でも、『舌の機能訓練によって最大舌圧値が上昇すれば、飲み込みがよくなる』ことがわかっています。

2012年以来、当院のリハビリ科では、『舌圧測定器』と『舌トレーニング用具』を用いた研究と治療(リハビリ)を継続しています。 その結果、最大舌圧値が向上し、摂食嚥下機能が改善した患者様が多数いらっしゃいます。

第17回・18回共催 日本摂食・嚥下リハビリテーション学術学会で当院発表:2012

舌トレーニングの実際

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舌圧測定器
(JMS社・JMS舌圧測定器)
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舌トレーニング用具
(JMS社・ペコぱんだ)

舌を鍛え、舌圧値を高めることで、摂食・嚥下機能の維持・改善を図ります。
舌トレーニングには『舌圧測定器』と『舌トレーニング用具』を使用します。

まず、舌圧測定器を使って、最大舌圧値を測定します。

舌トレーニング用具『ペコぱんだ』の硬度は5種類あり、測定値に合わせて、適切な硬度の『ペコぱんだ』を選択します。

『ペコぱんだ』は、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック菊谷武先生の監修により開発された舌トレーニング用具で、私たち因島医師会病院の言語聴覚療法スタッフもその開発に関わっています。 また、当院言語聴覚療法スタッフの研究成果を反映した、『ペコぱんだ』を使用した独自の訓練方法を考案し、実際に、舌トレーニングを行っています。

『ペコぱんだ』を使った舌トレーニングの方法

当院言語聴覚療法スタッフが考案した、『ペコぱんだ』を使用した独自の訓練方法(因島医師会病院方式)を紹介します。 「舌トレーニング方法の使い分けの目安」に従って、3種類の訓練方法から、状態に応じた訓練方法を選び、適切な回数を行います。

舌トレーニング方法の使い分けの目安
訓練方法 導入
順序
最大
舌圧
重症度 DSS※ 対象患者
負荷の弱い
等張性運動
1

20kPa

重度 1~ パーキンソン、
認知症、
全対象の導入など
負荷の強い
等尺性運動
2 中等度 2~ 指示理解が可能な嚥下障害者など
負荷の強い
等張性運動
新等張性訓練
3 軽度 3~ 軽度の嚥下障害があるか、
予防目的の要支援高齢者、
特定高齢者など
※DSS:摂食・嚥下障害重症度分類(Dysphagia Severity Scale)
『ペコぱんだ』を舌の上に乗せ、舌を使って、突起部が凹むまで押し上げます。
負荷の弱い等張性訓練
嚥下時舌圧を上回り、かつ近い硬度の『ペコぱんだ』を選択し、2秒間に1回程度の速度で、舌背挙上運動を10回行う運動を数セット行う(セット間のレストは30秒)。
負荷の強い等尺性訓練群
最大舌圧の60%以上相当の硬度の『ペコぱんだ』を選択し、同器具を舌背に乗せ、口蓋に向かって突起部が凹むまで力を入れ、最大限の力で3秒間持続する運動を20セット行う(セット間のレストは30秒)。
負荷の強い等張性訓練(新等張性訓練)
最大舌圧の60%以上相当の硬度の『ペコぱんだ』を選択し、可能な限りの速度で舌背挙上運動を1分間で出来るだけ多く行う運動を8セット行う(セット間のレストは30秒)。
※自分にあった訓練方法・回数で行います。 上記の3種類の方法を上から順に行っても構いません。

『ペコぱんだ』体操

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さらに当院では、尾道市より介護予防・日常生活支援総合事業(短期集中型通所サービス事業)の委託を受けており、その中で誰でも楽しく行える舌の筋力トレーニングはないかと「ペコぱんだ体操」を考案しました。

口腔機能の向上、摂食嚥下障害の予防など目的に、週2回6カ月間の訓練をみんなで楽しく行っています。 我々の研究で訓練効果も実証されています。

ぜひ、みなさんの地域でも行ってみてはいかがでしょうか?(自主訓練に取り入れている方もいらっしゃいます。)

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